自然災害

悲しみの中の出会い -廣野孝くんとご家族へ

学生時代の友人T君のお父上Hさんの訃報に接し、しばし時間が止まりました。T君は同じ国際政治のゼミ仲間。1986年の2月11日、伊豆熱川のホテル火災で、わずか22歳でこの世を去りました。先日のスキーバスの転落事故の映像にも重なりますが、この時のことをうまく言い表す言葉が見つかりません。

以来ご家族は、毎年ご命日にホテル跡地にお参りされ、私たち同期生も毎年このご供養に参列し、お参り後は昼食をともにしつつ、近況を報告させていただくのが習わしです。T君と過ごした時間はわずか1年。それより圧倒的に長い時間をT君亡き後、ご家族と過ごしてきたことになります。

人望の厚い元高校教諭のHさんは、私たちの年に1度のとりとめのない近況報告に、いつも興味深げに、時に質問やご助言を挟みつつ、耳を傾けてくださいました。ともに過ごす時間は濃密で、不思議な感覚にとらわれることがありました。もしT君が元気でいたら、このような関係は生まれていないと気づく時です。

同じ思いが東日本大震災の被災地での出会いと重なります。私自身、NGO難民を助ける会の支援活動を通じ、たくさんの貴重なご縁に恵まれました。Hさんご家族との関係がそうであるように、東北で出会った方々とのつながりも、出会う前が想像できないほど深いものです。

こうした出会いの不思議さを思い、大切にする一方で、そのきっかけとなった出来事の理不尽さや不条理さ、悲しみ、犠牲となった方々やそのご家族の無念さを覚え、心に刻んでおきたいと思います。

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