ジェノサイド

JSPS科研費2024年度基盤研究(C)にラファエル・レムキン研究が採択されました

このたび、JSPS科研費2024年度基盤研究(C)(一般)に研究課題「ラファエル・レムキンのジェノサイド論を再検討する:レムキンの日本研究に着目して」が採択されました。2026年まで3年間の研究です。これまで論じられてこなかった、レムキンと日本との関係に着目するこの研究が、レムキン及びジェノサイド研究発展の一助となると同時に、ガザやウクライナといった現場の課題につながることを念じています。
以下は、申請書に記載した概要です。

「ラファエル・レムキンのジェノサイド論を再検討する:レムキンの日本研究に着目して」
[概要]
多発する武力紛争や深刻な人権侵害を背景に、研究者のみならず社会一般でも、「ジェノサイド」という単語や概念が取り上げられ、注目されるようになって久しい。「集団殺害」を意味するジェノサイドは、ラファエル・レムキンの造語で、彼がその原動力となって成立したジェノサイド条約(1948年)で規定された国際法上の犯罪類型である。1990年代以降、複数の国際刑事裁判所規程でその定義と犯罪類型が踏襲されてから、内外でレムキンおよびその条約構想に関する研究が深まっている。しかし、レムキンが、ナチスを逃れて米国への避難途上、日本を経由し短い滞在ながら日本文化に魅了されたこと、心臓発作での突然の急逝で未完に終わった『ジェノサイドの歴史』草稿で、17世紀の日本のキリシタン弾圧を論じていたこと、日本軍の戦争犯罪の調査等東京裁判の準備過程にも深くかかわっていたことはあまり知られていない。
本研究は、国内外を問わず学術上未開拓のレムキンと日本とのかかわりを、残された文献や資料から多角的に検討し、レムキンの新たな側面に光を当てるとともに、彼の日本文化への憧憬と日本の事例研究が、その後のジェノサイド研究にどのような影響を及ぼしたのか、あるいはどのような位置を占めたのかを検討し、レムキン及びジェノサイド研究発展の一助とするものである。

進捗状況は折に触れ、このブログでご報告してまいりたいと思います。

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