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ノーベル平和賞コメント「戦争記録 重要性増す」『毎日新聞』2022年10月8日付朝刊掲載

10月8日付け毎日新聞朝刊「ミニ論点」でノーベル平和賞のコメント「戦争記録 重要性増す」が紹介されました。以下全文です。

2022年10月8日(土)付け 『毎日新聞』朝刊 「ミニ論点」
「戦争記録重要性増す」 立教大学大学院教授 長 有紀枝氏

 「ノーベル平和賞の推薦は2月頭に締め切られるため、同月に始まったロシアのウクライナ侵攻は、本来は対象に含まれないという見方もあった。にもかかわらず、ロシア、ウクライナ、ベラルーシの個人と団体が選ばれたことは、ロシアによるウクライナ侵攻が進む中、市民による戦争や人権侵害を記録することの重要性を評価しようという、選考者の意思を感じ取れた。
 選ばれた3者の活動に共通するテーマは、戦争犯罪や権力者による人権侵害、権力乱用に対する記録だ。
 私は、1991年以降ので起きた集団殺害などを裁いた「旧ユーゴ戦犯法廷」を研究している。法廷では、市民団体が集めた資料が裁判のきっかけになったケースも多かった。
 記録があれば、過去にさかのぼって裁くこともできる。ウクライナでロシア軍による戦争犯罪が続いている中、こうした記録を白日の下にさらす努力の重要性は一層重みを増している。
 ノーベル賞を受賞するからといってロシアやベラルーシの当局が弾圧の手を緩めるわけではない。しかし、国連安全保障理事会などの機能不全により「法の支配」の秩序が揺らぐ中、地道に努力する市民団体を評価することは、困難の中で同様の活動をしている個人や団体にとって支援になるだろう。【聞き手・金寿英】」

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