日本

防衛省国際平和協力センターにて講義をしました

過去10年ほど、毎年2~3回、防衛省や関連する研究・教育機関で、主に人道支援や民軍関係について講義を行っています。

昨日7月12日は、統合幕僚学校の国際平和協力センターにて、国連のPKOミッション部隊の指揮官等を対象とする上級課程で、講義を行いました。途中短い休憩を挟んで質疑応答も含め3時間、受講された皆様には、大変熱心に、真摯に聞いていただき、感謝いたします。

昨日の講義、前半は、いつものメニューどおり、人道支援の起源や実態、人道アクターによる人道支援と。軍事組織を含むその他のアクターによる人道支援の違いや課題、NGOからみた民軍関係の課題等について、お話しました。

後半は、私が今年2回目のボスニア出張からの帰国直後だったこともあり、講座の担当者の方と相談し、ボスニア紛争で発生した、スレブレニツァ事件の詳細について、主に国連PKOとの関係からお話させていただきました。講義日の7月12日は奇しくもスレブレニツァの陥落の日(7月11日)とその後に続く一連の出来事の記念日、質疑応答の時間には、事件の教訓や類似の事態に遭遇した場合の課題など、様々な視点から、大変重要なご質問・ご指摘をいただきました。

このような講習の時間をもっても、現在国連がPKOを展開している国々の状況に加え、日本国内の政治状況、国民感情、その他さまざまな制約や要因により、日本のPKO派遣の今後は極めて不透明です。しかしながら、この相互に依存した国際社会の一員として、また特に食糧やエネルギーはじめ、国民生活の根幹にかかわる部分を輸入に頼る国として、国際舞台で起きる紛争や災害に一切関与しないという選択肢は、もはやないと思います。

参議院選で争点になることさえない、国際平和協力業務ですが、日本の様々な制約を考えつつ、現実的かつ実現可能な、(国際貢献というより)国際社会の一員としての責務の果たし方を、選挙民の一人として改めて考えていきたいと思います。(2019年7月13日)

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