子ども

ダイアナさんの思い出

 2017年は対人地雷禁止条約の署名式から20年。条文の起草会議がオスロで開かれたのは1997年の9月でした。1日の開会式には、ダイアナ元英国皇太子妃も出席予定でしたが、衝撃的な逝去の報が世界を駆け巡ったのは、まさにその前日8月31日のことでした。

 ダイアナ妃は、英国が地雷禁止条約への参加を表明していないその年の1月、英国のNGOの招きでアンゴラの地雷原を訪れ、地雷で足を失った少女を抱き上げて「子を持つ母として」地雷の廃絶を訴えました。

 ロンドンの地雷対策セミナーでダイアナ妃に直接お目にかかったのは同年5月のことです。翌年の「第2回NGO東京地雷会議(難民を助ける会主催)」への招待状とダイアナ妃もサインを寄せてくださった地雷廃絶キャンペーン絵本『地雷ではなく花をください』(絵・葉祥明、文・柳瀬房子)の主人公・うさぎのサニーちゃんのぬいぐるみを持参しました。

 驚いたことにダイアナ妃は、その場で招待状を一読し「私の一存では決められないので、すぐにお返事できないけれど」と話され、晴れやかな笑顔で地雷除去用の防護服を着せたぬいぐるみを受け取ってくださいました。

 亡くなる3週間ほど前、ダイアナ妃は米国のNGOの招きでボスニアの地雷原を訪れました。同行したこのNGOの友人によれば、地雷の被害児宅を訪問した際、地雷とは関係なく風邪でふせっていた兄弟にも地雷被害児と同じように心配し、声をかけておられたそうです。

 その友人が葬儀を前にケンジントン宮殿で王子たちに面会しました。「あなた方のお母様は、地雷の廃絶に素晴らしい貢献をされました」と話したところ、ウイリアム王子が「あなた方のことは母からよく聞いています」と答えられたそうです。

 ダイアナさんはメディアの前のみならずご家庭でも、お子様方に地雷について語っておられたのです。「防護服を着たサニーちゃんが、ケンジントン宮殿の執務室に飾ってあったよ」。友人がそう教えてくれました

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