紛争

中国のPKO参加と国際ビジョン

 往々にして人は、初めて会った時の相手の地位や立場にしばられがちであるように思います。国に対する印象も同じではないでしょうか。

 先日、テレビを見ていたら「中国のような途上国が」と発言した識者がおられました。中国政府が戦略的に、特定の目的のもとに用いる場合は別として、今の中国を「途上国」と呼ぶのは、過去のイメージを拭い切れない人に多いように思います。

 現実はどうでしょう。国内総生産(GDP)は日本の2.3倍、経済力に応じて国連総会で決定される国連分担金も、2016年には長らく3位であったドイツを抜き米国、日本に次ぐ立場に。日本との差はわずか。早晩、逆転するでしょう。

 5月末の南スーダンからの自衛隊の撤退をもって、部隊の派遣がゼロとなった日本とは対照的に、国連平和維持活動(PKO)にも積極的です。5月末現在、10のミッションに合計2,512人の兵員を派遣しています。

 近年、PKOへの人的派遣はアフリカや南アジアの途上国が中心であり、外貨獲得が主目的ともいわれますが、中国の場合、それとは明らかに異なる目的をもってのことでしょう。

 先日、アフリカ出張の折には、中国中央テレビ(CCTV)がアフリカ向けに特化した質の高い英語ニュース番組を放送していることに驚きました。

 国際社会でどのような地位を占めるのか、明らかなビジョンをもった行動に思われました。

 翻って日本は、世界でどのような地位を占めたいのでしょうか。暮らしやすさと観光だけでは、国際社会に名誉ある地位を占めることは不可能です。

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