2016年のノーベル平和賞が発表されました。受賞者は半世紀に及ぶ内戦の終結に尽力したコロンビアのサントス大統領。反政府組織に対する裁きなどの問題を残していますが、平和賞が内戦に逆戻りしないための安全弁となることが期待されています。
受賞には至りませんでしたが「ホワイトヘルメッツ」の名で知られるシリア民間防衛隊も大きな注目を集めました。
身を危険にさらしつつ負傷者の救助を行う非武装中立のボランティア組織で、シリア全土で女性70人を含む約3000人が活動しています。
いまだ被害の全体像がつかめない地雷やクラスター弾の除去にも従事。空爆の続くアレッポでも、そろいの白いヘルメットをかぶり、涙とほこりで顔を汚しながら、まだ白煙のあがるがれきの中から、何時間もかけて小さな子どもや赤ちゃんを救出するさまが報道されています。
日々480万人を超えるシリア難民の苦境が伝えられていますが、シリア国内でも1350万もの人々が人道支援を必要とし、ホワイトヘルメッツ以外の救助の手が届かない犠牲者が限りなくいます。
時を同じくして第9代国連事務総長にポルトガル元首相、前国連難民高等弁務官のアントニオ・グテーレス氏が選出されました。氏の政治力や国連での経歴が評価されたことは言うまでもありませんが、シリアの紛争や難民問題が、世界の平和と安全を担う組織の最優先課題の一つと位置付けられたことの証左でもあります。
ロシアを含む安全保障理事会常任理事国も全て賛成票を投じた結果です。シリア問題に政治的解決の糸口が示されることを願ってやみません。