「難民が来ない国の難民鎖国」雑誌『世界』12月号掲載

11月8日発売の雑誌『世界』(岩波書店)12月号に、拙稿「難民が来ない国の難民鎖国ーこのままでいいのか?」が掲載されました。(122-131頁)「移民社会への覚悟」という特集の中の「もうひとつのイシュー」という位置づけです。

連日新聞をにぎわせている外国人労働者や移民問題と、無意識に、あるいは意識的・意図的に境界がぼかされ、混同されるのが難民問題です。同時にイメージや認識と実態との落差・ギャップが激しいのも、また異なる言説が鋭く対立するのも難民問題です。

そこで本稿ではまず、誤用や転用が多い「難民」の狭義・広義の定義を整理、「先進国に難民が押し寄せている」というイメージと現実との乖離を数字で確認しました。次に日本の難民受入れの歴史を概観した上で、「日本には本当の難民がいない・来ない」という言説の背景にある、外国人労働者による難民認定制度の「濫用・悪用」の実態と、そうした人々に支えられて成立している日本の労働市場を、私たちの日々の暮らしとの関連から考えました。最後に「難民に冷たい日本」批判は、単純な難民認定率だけを根拠とするなら不当ですが、数少ない「本当の難民」さえ不認定にされる厳しい日本の審査基準や、第三国定住による難民受入れの極端に少ない実績を基準にするなら反論できない現実を注視し、提言につなげています。ご一読いただければ幸いです。

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