紛争

キラーロボット -近未来の兵器の予防

 2016年4月11~15日、スイス・ジュネーブの国連本部で、特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠内で開催された「自律型致死兵器システム:LAWS」(Lethal Autonomous Weapons System)第3回非公式専門家会合に参加しました。日本政府も積極的な発言が注目された会議です。

 LAWSは、深刻な人道問題を引き起こしている無人戦闘機など遠隔操作型兵器とは異なり、まだ存在しない近未来の、致死性の自動無人兵器です。近い将来、「完全」自律型兵器が実用化される見通しです。

 私は人工知能(AI)の世界には疎い文系の人間ですが、対人地雷やクラスター(集束)爆弾の廃絶キャンペーンに共に関わった仲間で、1997年度のノーベル平和賞受賞者でもあるジョディ・ウィリアムズさんに誘われ、2013年の「キラー(殺傷)ロボット反対キャンペーン」に創設段階から関わりました。

 世界にはあまりに多くの問題が存在しているのに、まだ存在しない兵器の廃絶に関わっている暇があるのか、という思いもあります。そんな時、頭をよぎるのが、「核兵器が事前に禁止されていたら」「対人地雷が事前に禁止されていたら」という思いです。広島や長崎で、カンボジアやアフガニスタンで、数十万人の人々が、「犠牲者」や「被害者」ではなく、「普通の人」として人生をまっとうしていたはずだからです。

 CCWでは失明をもたらすレーザー兵器を実用化前に禁止した前例があります。非人道的な新兵器の存在に気付き、開発を未然に防ぐことができるチャンスがあるなら。やっぱり関わるべきだと思うのです。

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