1982年、国連は中東の紛争で犠牲になった罪のない多くの子どもたちを悼み、また世界中の暴力に苦しむ子供たちの権利を守るために、毎年6月4日を「侵略による罪のない幼児犠牲者の国際デー」としました。それから三十数年。現在も、こうした行為は時と場所を変えて、繰り返されています。毎日が誰かの誕生日や命日であるように、世界に目を転じれば、毎日が痛ましい事件の記念日になるのではないかと思うほどです。
シリアで、イラクで、ヨルダンで、スーダンで、ケニアで、コンゴ民主共和国で、今この瞬間もです。私自身教員であると同時に、国際協力NGOの一員として、こうした事柄に間近に触れ、できることを行動に移す立場にいます。しかしそうした立場にいてもなお日々のニュースに、ただただ無力感がつのります。
そんな時、思い起こすのが、“change the world(世界を変える)”というような大それた標語ではなく、国際協力の業界でよく使われる “make a difference”です。
「ちょっとした違いを作り出す」ことは、あまりにささやかな目標です。しかし同時に、地に足のついた現実的な言葉だとも思うのです。「世界を変える」というと言葉だけで終わりそうですが、「ささやかな変化を作る」ことは私にもできそうです。そして世界を少しでも良い方向に向けていくのは、選ばれた一握りの人々の「世界を変える」宣言ではなく、普通の人、一人ひとりによる日常の中のなにげない「ささやかな変化」の積み重ねであるように思います。