科学研究費助成事業(科研費:平成29年度)の助成を受けて、8月17日から月末まで、旧ユーゴ諸地域(セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア)を調査出張中です。3年計画の研究課題名は、「ICTY判決とジェノサイド後の社会の相克 ― スレブレニツァを事例として」。
この研究課題は、ICTYやスレブレニツァをめぐる判決が、事件の加害者・被害者双方にどのような意味をもったのか、またlocal/regional/internationalの3つのレベルの民族融和や和解、紛争の再発防止にいかなる影響を与えているのかを、関係者への聞き取りなどを通じて考察しようとするもので、今後のジェノサイド予防やジェノサイド研究に資することも目的としています。ICTY の刑期を終えた元囚人、服役中の「戦犯」の関係者、スレブレニツァ事件の遺族や現地の研究者らと面会しています。デイトン和平合意から23年、この地の「戦後」を見ることは、日本の戦後や同時期の日本を考えることにつながるように思います。